1989年のフランスのドラマ・クライム映画。
音楽は『ピアノ・レッスン』やピーター・グリーナウェイの映画音楽を作ったマイケル・ナイマン。音楽が重厚でいいですね。
私もこういう映画を面白いと思うようになったのですね。昔、『ベニスに死す』をみて少しも面白いと思わなかったのですが、今観れば大人の恋心、じりじり好きな人に近づいていく恋心が分かって面白いと感じるのかもしれませんね。
大人の恋愛映画と言っていたが鬱屈してるけど、恋愛の部分がよく分かって良かった。
最初、主人公が女性の部屋を覗き見していて、気持ち悪いと思うのですが、だんだんこの男の鬱屈した恋心が分かってきて切なかった。
ボクシングを観ているときのエロティシズムも電車の中で女性が婚約者と話しながら、主人公の手をとっているときの恋心も切ない。
目がものを言う役者ですね。
女性が窓越しに観察されていて、最初それを知った時気持ち悪いと思ったんだと思うのですが、それでも主人公に女性が近づいて行ったのはなんでだろう?と思ったらそれにはやはり理由があり。
警察が主人公が殺人犯だと思って近づいてきて、観ている私も誰が犯人なのか分からず、主人公が犯人かもしれないなとも最初思っていたり。
最初のほうは訳が分からず観ていたけれど、後半に向けて何もかもが恋心からの行動なんだろうなと思って。なおかつ、最後のほうで君のことは恨んでいない、ただ猛烈に切ないだけだという台詞がやはり切なかった。
雰囲気のあるいい映画です。