映画が好きすぎる眼鏡女子の独り言

淀川長治に強い憧れがある映画感想家

『ミッドサマー』星3.5点★★★☆

2019年のアメリカのホラードラマ映画。

グロテスクで具合が悪くなります。なんだこの後味の悪さは。

明るいホラー映画と呼ばれているみたいですが、花が綺麗で鮮やかなのがさらに気味悪さを増しています。

最初からダニーの家族に不穏な空気があって、その後スウェーデンにダニーの彼氏のクリスチャンと友達たちが行くことになります。それにダニーもついていくことになります。ダニーは精神的に安定していない状態です。

車を運転しているときから、道が上下反対に映っていて不思議な感覚を想起させます。

ダニーは彼氏のクリスチャンに不満を言いますが、不満を言い続けることもできず、すぐに折れてクリスチャンに合わせます。

最初はスウェーデンの田舎町ののどかで穏やかで夜に白夜になり明るく花に満ち溢れている世界にみんな魅了されるのですが、ある儀式を見てダニー達アメリカから来た人たちも具合悪くなるのですが、イギリスから来た人たちも怒って帰ろうとしているのですが。

だんだんこのコミュニティの儀式に飲み込まれていき最後にはショッキングな結末が待っています。

それにしてもなんで、最後に村人もみんな狂気に怒ったり泣いたり切れて笑ったりしているのに、ダニーだけが普通に笑っているのか。狂気が過ぎると狂気を超えて本当の狂気で笑っているんじゃないかというのが不気味です。

最後のスタッフロールの花が鮮やかなのもやはり不気味。

普通のホラー映画より気持ち悪い。けど普通のホラー映画のほうがこれからホラー映画を観るんだという心構えがあって私は好きなんだけどなぁ。

 

ミッドサマー(字幕版)

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『あん』星4.5点★★★★☆#河瀨直美#樹木希林#永瀬正敏#内田伽羅

2015年の河瀨直美監督の日本映画。

うちの母と一緒に観たのですが、母が変わった映画だ変わった映画だと言っていたのですが、それは映像の綺麗さだったり、役者の演技が演技演技してなく朴訥な演技だったり、その演技を待ってのカット割りだろうとしているところがだと思います。

この映画を撮るため河瀨直美監督は樹木希林カナリアとアパートで住んでもらうとかしてもらったそうです。樹木希林さんはこの年になってそんな演技プランをしてもらうことがない、と言って新鮮だったみたいですが、そういうところがこの映画に表れているんでしょうね。

昔、河瀨直美監督がドキュメンタリー論について私は見たいものを見たいように映すと言っていてそれはドキュメンタリーじゃなくてフィクションだろうと思っていたのですが、それから随分進化していてこんな素晴らしい映画が表現できるようになったんだな、と感無量です。その強い精神力が河瀨直美監督をこう成長させたんだな。

樹木希林さんのでる映画はとにかく面白いのが多い。

入れ歯を取るだけでおばあさんに変身したり、きゃっきゃっと演技しているところが女の子の様だったり。

どら焼き屋のあんを徳江さんが変えることで、どら焼きが爆発的に売れる、だけじゃなく、店長さんの心の底に人は何者にならなくても生きている意味があるんだと力強い生き方を教えた物語でもありました。

樹木希林さんの孫の内田伽羅さんの美しい姿も見れることができました。今どきの眉とかではないですが、それでも美しいひとだなと思いました。

 

 

『台風クラブ』星四つ★★★★#相米慎二#工藤夕貴

1985年の相米慎二監督による日本映画。

中学生はなんて危うい存在なんだろうと思った。

最初の場面で終わった後の学校のプールで遊んでいたりかなり自由な中学生たちだけど、確かにそういうプールで遊んでみたいけど、実際にやったら危険だよね、ということをやっている。

主人公の三上君が受験して東京の学校に行ってしまったら、自分の好きな人だけが遠くに行ってしまって、工藤夕貴演じるりえは取り残されてしまったような気分になるんだろうな。だからそれが分かっているから咄嗟的に家出してしまったんだろう。

それに主人公の三上君は先生みたいな大人にはならないと言っていながら、台風が来たら結局みんなと一緒に服を脱ぎ散らかして遊んだり勉強している自分と種と個とはなにかと考えていたりしている自分と結局そういう大人になるんではないかという自分とで揺れ動いていたんだと思う。

それで、自分の死がそういう普通の生と死だけではなく、尊厳ある生と死を持つこともできるんだというきっかけになればと飛び降りたのだろう。

だけどそれはあまりに性急な衝動的な行動だったと思う。

それがどんなに頭がいい中学生だろうとしても、やはり中学生の考えたことなんだろうな。

尊厳ある生と死は一度堕落に落ちてみてそこから這い上がるくらいの壮絶な人生観があって初めてなされるものだと思う。人生の目標とか生き生きとした人生とかそれだけではないのが人間の人生。濁流にもまれながらもその中から這い上がり光を見出した時生きることの尊厳が分かるんじゃないかと思う。

 

 

『パターソン』星4っつ★★★★#ジム・ジャームッシュ#アダム・ドライバー

2016年のジム・ジャームッシュ監督の映画。

ジム・ジャームッシュ監督の映画は『パターソン』『ナイト・オン・ザ・プラネット』『コーヒー&シガレッツ』『ミステリー・トレイン』くらいしか追えてない。久しぶりに観たジム・ジャームッシュ作品だがじわっとくる感じ。

アダム・ドライバーが出演している映画だったら似た感じで『フランシス・ハ』のほうが好きだったな。なんでそっちの方が好きかというと主演のグレタ・ガーヴィグのドジで冴えない日常なんだけどそういう人いるよね、って感じが良かった。

パターソンはかわり映えしない日常を過ごすんだけど、一週間を同じように始まり終わりながら週の後半で事件があったりだんだん濃い時間になっていく感じがする。

自分のことを詩人とは言わず、でも詩人と言いたいんだろうなと思った。

双子がやたら出てきたり滝や詩人が色々出てきたりなんというかシンクロニシティというか。

主人公はバス運転手をしながら詩を書きためていて、多分アーティストな奥さんとブルドッグと暮らしている。毎日寄るバーがあってそこで一杯のビールを飲んで帰る。

毎日同じことをするんだけど、少しづつ変わっていてなんといっても主人公のパターソンはやはり詩人であるということが彼のアイデンティティなんだろうなと思う。

最後のほうであなたは魚になりたいですか?という歌が気になると言っていたがそれはあなたは詩人になりたいですか?と聞かれてイエスと答えるだろう主人公ならではの詩だったと思う。

永瀬正敏がいい役だった。

 

 

『音楽』星四つ★★★★

2019年の日本のアニメーション映画。

不良三人組が突然バンドをやろうとバンドを組む話。

不良の日常って喧嘩するかテレビゲームで遊ぶか漫画喫茶に行くか。退屈そうで楽しそうでもある。

なんかに夢中になるという意味では、バンドは最高に楽しい遊びだな。

このアニメーションは全部ひとりで描いたというが半端でない。7年かかったそうだ。

アニメーションの絵柄も途中で変わったり、古美術の演奏の時の絵柄がとてもよかった。

あと、バンドを演奏している三人組の不良たちの音楽もなんだか好きだった。三人組の不良たちの音楽は、難しい演奏はないがそれでもそういうジャンルの音楽があるんだろうな、と思わせる音楽だった。ベースが二人なのもこのアニメに合っていていいな。

音楽についてはほとんど分からないが、どれもいい音楽だったと思う。

このアニメーション映画のいいところはなんといっても絵柄だと思う。最初からアニメーションの絵柄が変わっているなと思っていたが、どんどん変わっていく絵柄に夢中になったり。

ケンジの性格が穏やかでいい。喧嘩もするんだろうけど、古美術の演奏を聴いて感動したりなんとベースではなく、リコーダーが得意だったのもうけた。

私はリコーダーの演奏をけっこう聴いているのだが、かなり上手な方。

それに最後のほうで分かるのだがケンジが歌もうまかったというのにびっくりした。

あやちゃんの「気持ち悪い」の言葉にも愛がこもっていていいなあ。

のどかな不良映画だなあ。

不良がかっこいいと言われているのは日本の独特の文化なんだろうな。

 

 

『バベットの晩餐会』星4.5点★★★★☆

1987年に公開されたデンマークのドラマ映画。

ウーン、これは設定の妙ですね。素晴らしい。

召使のバベットのフランス風の晩餐会の料理が生きる設定になっています。この一日を成功させるためにすべての設定がなされている感じ。

まず、女姉妹の長女を好きだった男性が将軍になっていて、フランスやいろんなところに行っていてバベットの料理やワインがどれほど一流なのかをしゃべる役になっています。

つぎに女姉妹や村の人々がデンマークの田舎町の宗教家に集う人といって清貧を好み、今までに食べたことのないような料理に何も料理のことは言ってないんだけど食べている姿から至福の時を過ごしているということが分かる演出。

バベットの晩餐会のメニューもウミガメのスープキャビアのドミドフ風ブリニ添えやウズラのフォアグラ詰めパイ包みなど、私には分からない料理の名前ですが将軍いわく超一流。そしてワインも将軍いわく超一流。

将軍以外その名前も聞いたことがないのですがそれでも美味しく幸せになって宗教家のお父さんの話を楽しそうに話したり、人に優しくなったり。

この映画はグルメ映画の中では有名な映画なんだそうで、私も美味しそうでよだれが出てきた。

後半部分のバベットが料理を作るのに真剣なところや料理が配られみんなが驚いたりかなり美味しそうに食べている姿を見て、私はグルメドラマも好きなんだなぁとつくづく思ってしまいます。

正月早々いい映画に出会えて寒い日本ですがほくほくの気持ちになれました。ありがとう。

 

 

『えんとつ町のプペル』星四つ★★★★#西野亮廣

2020年の日本のアニメ映画。

お笑いのキングコング西野亮廣さんが製作総指揮。あのディズニー映画を超すんだと意気込んだ作品。

youtubeの一時的にあったCMを見て私も観たいな観たいなと思っていた映画でした。映画館で観ようと思っていたけどアマゾンプライムでようやく観られました。

最初のほうのジェットコースターのような映像と、音楽に助けられている部分が多い映画ですね。これがこういう映像でなかったなら、盛り上がりに欠けていたんだろうなぁ。映像の計算が見えた瞬間ですね。

プペルの声が窪田正孝!ちょっとこんな感じの声もするんだぁと意外な感じ。

プペルがちょっと間の抜けた声をしていてでも自分の脳がルビッチの大切な腕輪だと自分のことを顧みずルビッチにかえそうとするあたり良かった。あと、最後にまさかプペルが亡くなるとは思っていなくてそれも悲しかった。

西野亮廣の作った音楽の歌詞が考えさせられる。「夢を持てば笑われて、声を上げれば叩かれる~」これは西野亮廣の本当の気持ちなんだろうな。夢を途中であきらめた人は今でも夢見ている人がいると自分に不都合なんだろうな。

それを絵本にし、映画にまでする努力に脱帽。

絵柄が細かくてよくこんなの描いたなと思う。

特に最後の音楽で表した船の絵は圧巻。

今、プペルの歌舞伎をやっていてプペルが絵本やアニメ映画だけではなくさらにその先へと進んでいる証拠。

この映画にしろ、西野亮廣にしろ、好き嫌いがわかれるんじゃないかと思う。私の場合は好意的に受け取りました。