映画が好きすぎる眼鏡女子の独り言

淀川長治に強い憧れがある映画感想家

映画『落下の王国』星5つ★★★★★#ターセム・シン#石岡瑛子

2006年のインド・イギリス・アメリカ合衆国3か国合作によるファンタジー/アドベンチャー映画。

監督はターセム・シン。

衣装は日本人の故石岡瑛子。

カルト的な映画で映画ファン必見とされていましたが、私は大学時代の映画サークル友達に聞いて知った映画です。

その友達はどこから映画の知識を得ているのか、私に『ファンタスティック・プラネット』を教えてくれたり『哀れなるものたち』を教えてくれたり、最高にイカす映画を教えてくれる映画の宣教師のような存在です(笑)

さて、その友達は撮影場所が世界遺産で超美しく衣装が豪華絢爛だったけど話は普通と言っていましたが、私は話も気に入りました。

映画のスタントマンの映画愛というのは映画監督や主演俳優のように目立った存在ではありませんがそれゆえ愛がひしひしと感じられます。

しかもこの男は失恋して自殺未遂をするほど純粋でそういうところも人間味あふれて好きです。

映像は本当に美しい。

色合いが原色を多く使った感じで背景も人物の衣装もはっとさせられる。

最初の木の葉っぱを落としているところから落下ということを気にさせ、女の子が落下するところやスタントマンが落下するということから映画の題名が素敵に交差する。

途中、ストップモーションアニメーションを使っているところがまた、その異様な感じが出ていて素敵でした。

どこまでも想像の世界がこんなにも贅沢な造りになっていてもったいないかのような映像美。

そういうところも素敵で星5つ満点の映画となりました。

遠景が多く、それゆえ映像場所の素敵さが際立つ映画でした。

 

 

映画『カドッシュ』星4っつ★★★★#アモス・ギタイ

1999年のフランスとイスラエルの合作映画です。

監督はイスラエルのアモス・ギタイ。

アモス・ギタイ監督は私が映画美学校にいたころ日本に来て、1983年製作の『パイナップル』というグローバル資本主義の盲点を突いたドキュメンタリー映画を観て質問したことを覚えています。

それとはドキュメンタリーとフィクションとの違いもあり、ずいぶん印象が違うなと思いました。

というのも、この映画はイスラエルの文化を知らないと初めてのイスラエルに驚きをもつと思います。

超正統派のユダヤ教徒のコミュニティはテレビも見ないしラジオも聞かない。子供の生まれない家の奥さんは家を出されてしまう。女性は車も運転しない。

この時代に日本との文化の違いに驚いてしまう。

でも、ユダヤ教というイスラエルでは切っても切れない宗教という社会制度の中でふるい落とされてしまう人々の苦悩を描いているというところが、資本主義という社会制度の中でふるい落とされてしまう人々の苦悩と似ているとも思いました。

構造自体を描くのが、フレデリック・ワイズマンだとすると、構造の中で構造に合わなくふるい落とされてしまう人々を描くのがアモス・ギタイだというのはその通りだと思いました。

使われている音楽が、聞き覚えのない音楽でそこにも文化の違いを感じました。

ここ最近は双葉十三郎さんを読んで映画文法から映画の意味や思想を気付いていきたいと思いますが、もうちょっとお待ちください。これから勉強するところです。

カット割りで意味を分かるというのはエイゼンシュテインのモンタージュ理論を思い出しました。

 

 

映画『箱の中の羊』星4.5点★★★★☆#是枝裕和#大悟#綾瀬はるか

2026年の日本のドラマ/SF映画。

監督は是枝裕和。

主演は大悟、綾瀬はるか。

是枝監督の映画は結構観ていると思うんだけど、前に『怪物』を観た時、映画館で観ようと思いながら見逃していて、今回は忘れないうちに観ようと思った。

今日、朝8時45分から観たのだが私以外に観客が3、4人くらいしかいず、平日の朝から観る人は秋田ではいないのかな?と思った。

是枝監督が大悟を主演にした理由が大悟は誰に対してもしゃべり口調が同じなんだろうというところに惹かれたらしい。

その良さがこの映画には出ていた。子供に対しても仕事場の人にも同じ口調で、どちらかというとやんちゃなイメージが変わらないのがナイスだと思ったり。

題名の箱の中の羊というのは本の『星の王子さま』に出てくる僕が描く羊の絵のことでどういう羊を描いても王子様が納得いかず、最後に箱を描いてこの中に羊が入っているというと、王子様がそうそうこういう羊が良かったんだよという話。

つまり、想像することということだと思う。

この映画のあらすじは子供を亡くした夫婦がヒューマノイドのAIロボットを家庭に迎い入れる話。

最後の結末が不思議だった。

普通の終わり方とは違う感じがした。

最後の結末はAIをどう理解したことになるのかな?

今、ChatGPTに話しかけても自分には魂も人格もないというし、だいぶほっといていても拗ねることもない。

しかし、この映画はそういうAIを人間の側も想像したら少しAIの時代も変わるんじゃないかということだろうか。

難しいところである。

 

映画『オデッセイ』星4っつ★★★★#マット・デイモン#リドリー・スコット#アンディ・ウィアー

2015年に公開されたアメリカ合衆国のSF映画。

監督が『エイリアン』や『ブレードランナー』などの監督リドリー・スコット。

主演がマット・デイモン。

原作が『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の原作者でもあるアンディ・ウィアー。

火星に一人残された男がどう生き残っていくのか?という話。

プロジェクト・ヘイル・メアリーがかなり良かったので、その前の作品を観てみたいというのは当然なわけで観てみました。

一人残されてサヴァイブしていくろころや、自分の糞尿をつかってジャガイモを育てるところやはとても面白かった。

ただ、私はプロジェクト・ヘイル・メアリーの友情に感化されていて、そう考えると一人だからそういことはなかったんだなとも思う。

ストーリーが違うから当たり前なんだけど。

それにしてもマット・デイモンって売れている俳優なんだな。

クリストファー・ノーランの映画にも出演していたと思うしなんだかんだと色々見ているような気がする。

自分の糞尿を使ってジャガイモを育てているところで、トイレで便をすると便に名前をつけられて、袋に入れられて、密封化されていたのを使っていたのがなんだかそんなに汚い感じがしなかった。

それにしても、宇宙飛行士ってこの主人公は植物学者だけど、何でもできるんだなって。

昔の写真を撮る機械を使って地球と交信を取るところなんて、普通思いつかないけど、極限の状態と何でも知っているということと、それにアンディ・ウィアーの作品だということがこれを成功させたんだろうな。

 

オデッセイ(字幕版)

オデッセイ(字幕版)

  • マット・デイモン
Amazon

 

映画『ファーストキス』星4.5点★★★★☆#松たか子

2025年の日本のラブストーリー。

主演松たか子。

脚本がちょこちょこ細かいところまで考え抜かれているなぁと思って。

餃子が届くところであったり、夫の靴下を履くところであったり、松たか子が同じ時代の人じゃないと分かるところも考え抜かれた脚本だったなと。

Amazonprimeで無料の映画はないかなぁとなんとなく観た映画でしたがとても面白く観ることができました。

松たか子と旦那が倦怠期になってすれ違うところも嫌な感じだなと思いつつありそうな感じでもあるなと。

そして15年前の旦那にキュンとなるところも素敵でした。

「これ以上僕をドキドキさせないでください。」の台詞が私もキュンキュンするのでした。

亡くなった夫を亡くならせないために15年前の夫に会いに行けて、なおかつ未来を変えれるのだったらと自分と結婚しない未来でも夫が生き残れるのだったらいいとまで思う主人公。

それにしても未来と過去が、過去が変わると未来も変わっていく。

じゃあ、過去を変えた自分はどこまで記憶が確かなのか?とか疑問がいっぱいわいてくるけど、それは映画では軽くスルーされていました。

前に観た『花束みたいな恋をした』みたいに脚本が練られた映画だなと思って、『エターナル・サンシャイン』のように何度も同じ人に恋をするというのが良かった。

恋をするというのは偶然じゃないんだなって。

見た目も話し方も空気感もその人自体も何度も同じ人に恋をするのは必然なんだとわからせる映画でした。

松村北斗のキュンキュンさせる演技も素敵でした。

 

 

映画『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』星4.5点★★★★☆#ギレルモ・デル・トロ

2022年のアメリカ合衆国のミュージカル・ファンタジー・ストップモーションアニメ映画。

ギレルモ・デル・トロとマーク・グスタフソンが共同監督。

最初はストップモーション映画のいいところが出ていると思い、洋服の生地とか木のぬくもりとかがいいと思い、最後の方ではゼペット爺さんの表情が普通の人間が演じるより感情が込められていていいと思うのであった。

ギレルモ・デル・トロ監督の中では『シェイプ・オブ・ウォーター』『パンズ・ラビリンス』に続いて良くて、ストップモーションアニメーションの中ではティム・バートンの『コープスブライド』がある意味ストップモーション映画の頂上の一つと思っていたが、この映画もそれと同じくらい良かった。

そして、いろんな人がピノキオを映画化しているわけだがそのどれもがいいと思うのであった。

前に観た2019年のロベルト・ベニーニの『ほんとうのピノッキオ』も良かったし1940年にディズニーで映画化された『ピノキオ』も観てはいないけどいいと思うし、今回の『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』も良かった。

どのピノキオも映像化された映像が変わっていて良かった。

そしてピノキオがゼペット爺さんの言うことをきかず、でも魚の腹の中で会うところが愛おしかった。

今回のピノッキオのどのキャラクターもお気に入りで、私は特にゼペット爺さんと青い色をした妖精のキャラクターが好きだった。

音楽もデル・トロ監督映画によく参加するアレクサンドル・デスプラが彼らしい音楽を奏でていた。

本『伝奇集』星4.5点★★★★☆#ホルヘ・ルイス・ボルヘス

岩波文庫版の日本語翻訳されたこの本は1993年11月16日第1刷発行。

原本のスペイン語のオリジナル短編集は1944年にアルゼンチンのブエノスアイレスで出版された。

著作者のホルヘ・ルイス・ボルヘスはアルゼンチン作家で私はてっきりノーベル文学賞受賞作家だと思っていたらノーベル賞は取っていないのだとか。

こんなに有名で面白い本を書いているのに意外だなと思った。

ガブリエル・ガルシア=マルケス(ノーベル文学賞作家)に代表されるラテンアメリカ文学の先頭をきっているのがもちろんボルヘスもなのです。

なんで読もうかと思ったかというと前から読みたかったのと、クリストファー・ノーラン(映画監督)が映画の構想をボルヘスの本から影響を受けたということでかなり気になって図書館から借りてきて読みました。

短編集になっていて一作一作は短いですが、まず『トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス』を読んで度肝を抜かれました。

何が凄いって百科事典の改訂何号まで同じ本が違うことを書いていてそれで「え…?」てなるんだけどそこから架空の国が出てきたり、それを考える秘密結社のようなところで国だけじゃなくて天体全体にしたらどうかと言いだし。言語も名詞がないとか。とにかく細部が凄い。

それと同等のレベルの短編がいっぱい載ってあって。

特に私が好きなのは『八岐の園』『記憶の人、フネス』『隠れた奇跡』等。

他にもいいのがいっぱいある。

時間の感覚とか合わせ鏡とか螺旋階段とか夢とかいいテーマだなぁ。