映画が好きすぎる眼鏡女子の独り言

淀川長治に強い憧れがある映画感想家

本『生きて、語り伝える』星四つ★★★★#ガブリエル・ガルシア=マルケス

2002年にスペイン語で刊行されたガブリエル・ガルシア=マルケスの回想録『生きて、語り伝える』。

日本では2009年に発行されたものである。

私は2009年にこの本を買っており、今日ようやく読み終わったものである。

途中、もの凄い熱中させられて読んだものだが、淡々と難しい漢字だなとか、聞いたことのない言葉だなとか思い読んだりしたものだ。

何に熱中させられたかというと、ガルシア=マルケスは本の虫で高校で本を読んでいることにより先生方に単位をもらって特待生として何とか卒業出来たり、初めての短編作家として新聞に自分の小説が載ったり、本好きの友人にこの本は読んだほうがいいとか、本について語り合った日々がとても私にはうらやましくて楽しく読んだものです。

ノーベル文学賞作家は、自分で小説を作り出すだけではなく、カフカの『変身』などに影響を受けて自分でそのパロディのようなものを作ったりして文学を楽しんだりしている。

予告された殺人の記録』の書くきっかけになった出来事や、お母さんにかたく書くなと言われたことや、予告された殺人の記録の最後が本当にあったことを結末にもってくるという嘘みたいな本当の話だったのも面白かった。

また『百年の孤独』のマコンドという町やブエンディーア大佐の名前の由来や。

『わが悲しき娼婦たちの思い出』が描かれたモデルになった土地だったり。

ガルシア=マルケスは面白いなぁ。

難しい言葉を使ったりするがそれでも私には合っているのか好きな作品がたくさんある作家です。

今年は『百年の孤独』の単行本も出てまた騒がれている作家でもあります。

 

 

映画『哀れなるものたち』星4っつ★★★★#ヨルゴス・ランティモス#エマ・ストーン

2023年のイギリス・アメリカ・アイルランド合作のシュール的SFロマンティック・コメディ。

監督はヨルゴス・ランティモス

主演はエマ・ストーン

魚眼レンズを使ったり、音楽が独特の聞いていて膨らみのある音楽だったりとにかく変わっている。

初めてのヨルゴス・ランティモス作品だが結構気に入っている。結構好きな映画だが、この映画を好きというとちょっと風変わりな人と思われるので好きとも公言できない(笑)

エマ・ストーンが着ている肩に膨らみのある洋服も素敵だし、世界旅行に行った先の風景も素敵だった。今時じゃなくここら辺がSFと呼ばれるゆえんなんだろうな。

赤ちゃんのようなベラが世界旅行に行ってどんどん世界を知っていって賢くなっていく姿が素敵だった。

それに合わせて映像が風変わりだったり、ベラの感情の起伏が激しかったりで演技するのも大変だろうなとも思った。

ヨルゴス・ランティモスの他の作品も観てみたい。

最後の将軍の脳に羊かヤギかの脳を移植させるところは、はっきり言って悪趣味だなと思った。

ベラが様々な経験をしていって、最後は女性とはなにかとか、女性の自立のようなところになっていってこの映画はフェミニズム論を言っているのかもなぁとも思った。

最初の頃映像が白黒で世界を知っていってカラーになるところがものを知っていく成長が表されて行って知る喜びを表しているようだった。

性表現が激しすぎたところがちょっと難点か。

 

 

映画『2001年宇宙の旅』星4っつ★★★★#スタンリー・キューブリック

1968年のイギリスとアメリカの合作SF映画

監督がスタンリー・キューブリック

これが1968年に作られたっていうのが凄いなと。

2001年のことを想像して作った映画かもしれないが2001年に木星に行くこともなく、宇宙旅行はそれでも2024年でかなっているかもしれなけど、超お金持ちの宇宙旅行でもこんな感じにはなっていないなぁと。

あと、ハル9000の自我のようなもののあるコンピューターが今のAIの時代になんだか薄気味悪い。

ハル9000が自分を消されそうになって、自分には声の聞こえないところで人間が話しているのをじーっと見ていて、口の動きで何をしゃべっているのか知り、人間を排除しようとしているのが怖かった。

この映画の中ではコンピューターに自我があるということなのね。今の時代もコンピューターに自我があるのかどうかは謎なんだよな。

私はこの映画多分高校時代くらいに観ていると思うんだけど、難解すぎて意味が分からなかったと思うんだけど、スティーブン・スピルバーグクエンティン・タランティーノがこの映画を観てものすごい衝撃を受けていて時代もあるんだろうなと思った。

この映画が出来たのが私が生まれる前だからね。

今だったら『メッセージ』だったり『インターステラー』だったりSF映画に時間の観念が出てくるが、この時代は人類の始まりから人間存在の死と生命の誕生が含まれているんだろうな。

スタンリー・キューブリックは好きな監督で高校くらいの頃好きな監督は誰かと聞かれたらスタンリー・キューブリックリュック・ベッソンと答えていただろけど、今はクリストファー・ノーランギレルモ・デル・トロが好きだと答えるだろう。

キューブリックは映像がスタイリッシュでお洒落だな。神々しいし音楽がまた合っている。

 

 

映画『線は、僕を描く』星4っつ★★★★#横浜流星

2022年の日本の水墨画の映画。

主演が横浜流星

水墨画だと秋田の平福百穂とかの美術館にあるライオンの絵を見たことがあるのだが、それは細いライオンのたてがみの線が緊張感のある線で描かれていて素晴らしい!!とか感動した!!としか言いようのない絵だったがこの映画の中にある絵はそこまでではないがそれでもいいなぁと思った。

個人的には清原果耶の最後のほうに描かれていてたバラの絵の線がかわいらしくて好きだった。

竹を描く時の墨を筆につける時、三色の墨を付けてそれを使って描くというのが水墨画の初期の技術なのだろうがはっとさせられた。

最初は技術でオーと思っていたが、最後のほうになると技術的なことではなく本質を描くとか命を描くとか言われてそこまでの芸術の凄さを感じられる人になりたいものだなと思った。

横浜流星水墨画を描いているとききらきらとしていて少年のような顔をしていて素敵だなと思った。しかも、師匠に言われたわけでなく自分から何度も何度も墨で線を描いて、弟子にスカウトされるだけあるのだろうなと思った。

なんで自分を弟子にしてくれたのか?聞いたら水墨画を見て感動して涙を流しているところを見て、その姿が真っ白な紙に水墨を描いてみたくなったと言っていたところが見る目があるんだろうなぁと。

清原果耶も横浜流星の線をちょっと変わった線を描く、と見抜いているところも素晴らしい。

青春映画の一つの形なんだろうなと思った。

 

 

映画『グスコーブドリの伝記』星4.5点★★★★☆#宮沢賢治#杉井ギサブロー

2012年の日本のアニメ映画。

原作は宮沢賢治

監督は『銀河鉄道の夜』も製作した杉井ギサブロー

宮沢賢治って利他主義や自己犠牲の精神を持っているのだろう。尊敬はするけど真似はできない。私は自分自身を幸せにして他の人のことを自分と同じだけ幸せにしたいと思うのは愛している人に対して。自分が幸せだとおのずと他の人の幸せも願えるんだろうなと思う。宮沢賢治がこういう思想になるのはきっと若い時に自己形成をするときに考え抜いた結果なんだろうな。私の、自分を幸せにできない人は人も幸せにできない、の対極にある考え。対極か、隣の考えかは分からないけど。
宮沢賢治は崇高だと思った。

銀河鉄道の夜も自己犠牲の精神だし、雨にも負けずは人に褒められもしないでつまり称賛も浴びずただにこにこ人の幸せを願うという人間として超できた人。

高校時代私は私立大学だけしか受けていなく小論を主にやっていて受験が終わった後、国立の後期試験のある友達に小論の勉強の仕方教えてと言われ、私の持っている小論対策のいいのだけをコンパクトに教えたらその子が受かって私のうちに電話が来た時すごく感謝していると言われ、それがなんでだか知らないがすごく嬉しかった思い出がある。そういう自分の感情を大切にしていけたら何が自分にとって幸せか分かるんだろうな。

イーハトーブが岩手なのは東北人だから分かっているが、岩手とこの映画の中で出てくるイーハトーブが違い過ぎて面白い。イーハトーブの人はドローンのような小型飛行機に乗って自動車のように運転するんだろう。

 

 

映画『瞳をとじて』星4.5点★★★★☆#ビクトル・エリセ

2023年のスペインとアルゼンチンのミステリー/ドラマ映画。

監督がビクトル・エリセ

ビクトル・エリセ監督は私は『ミツバチのささやき』と『エル・スール』しか観たことなかったけど、ビクトル・エリセ監督の長編作品はこれに『マルメロの陽光』と四作品しか作っていないので彼の製作の映画は四分の三観たことになります。

エル・スールが好きすぎて私の好きな映画ベストテンに入っています。何で好きなんだろうと考えてみると、ハリウッド映画だけではなく世界のいろいろな文化を知りたいという中、スペインのフランコ政権に反対の立場を取っていたり、特にエル・スールは音楽や街中の背景や洋服や人々の性格などがスペインらしかったので特に好きだと感じたんだろうな。

この映画のフリオの娘役にミツバチのささやきの主人公の女の子が出演していると思って嬉しくなりました。あんなにかわいかった女の子の面影があって、懐かしく思いました。

この映画は映画監督と失踪した役者の話で、ビクトル・エリセの実際の生活も反映しているのかなぁと思って切なくなりました。どんなにすごい映画を作った監督も映画を作っていないとお金にならない小説を書いたり、畑をやったり、魚を釣ったり、普通の人としての生活があるんだろうなって。

この映画を観てビクトル・エリセ監督にとって映画を作ることは人が宗教や政治をを信奉するのと同じような意味があるんだろうなと思いました。

31年ぶりに作る映画は観る人に何を伝えたのか。

 

 

映画『オッペンハイマー』星5つ★★★★★#クリストファー・ノーラン#キリアン・マーフィー

2023年のアメリカの歴史映画。

監督がクリストファー・ノーラン

主演がキリアン・マーフィー。

今までクリストファー・ノーランはただただ面白い映画を作る監督として私には一押しの映画監督と思っていたが、この映画を観てオッペンハイマーと共にアメリカの原爆開発の罪をアメリカ人として取ろうというそういう罪の意識をクリストファー・ノーランに植え付けた映画になったと思う。

今年、日本被団協ノーベル平和賞を取ったのを考えるとこの映画を星一つにするか星五つにするか悩みどころだったがスタンリー・キューブリックの『時計仕掛けのオレンジ』と同じように天才監督は駄作とかではなく、星一つか五つか悩むような問題作を作るものなのだなと思った次第です。

今回星五つにしたのはこの映画を観てもう一度原爆のことを考えてほしいとアメリカ人という自分の罪のようなものを取ろうという意思を感じたからです。

この映画最初のほうでも、原爆を作るまで音楽というかそういうのがなんだか不安なようなものが出来てしまうのではという緊張感と不安が入り混じったような感じがしました。

そして、白黒とカラーの色の違いは最初はなんだか分からなかったけど、白黒はストロースのオッペンハイマーにかけた罪のところで白黒になるんだなと思った。

映画自体は深く感じ入るが日本の原爆の悲惨さを描いていないと言われれば、その通りだなとも思うのでした。