映画が好きすぎる眼鏡女子の独り言

淀川長治に強い憧れがある映画感想家

『あちらにいる鬼』星4っつ★★★★#寺島しのぶ

2022年の日本のロマンス/ドラマ映画。

監督が廣木隆一

原作が井上荒野

井上荒野が自身の両親である作家井上光晴と妻、そして瀬戸内寂聴の三角関係をモデルに描いている。

最初にこの小説の題名をきいたとき、あちらにいる鬼って瀬戸内寂聴のことかな?と思っていたら、調べたら死ぬと魂は天に召されて残りが地上で鬼となるという父井上光晴のことをそう言っていたみたい。

で、どういう映画かと言うと、三角関係は三角関係なんだけど、争うことをせず、寺島しのぶ豊川悦司は男女の恋愛とあと小説を書くというところで結ばれていて、また広末涼子豊川悦司も夫婦という絆とやはり小説を書くということで結ばれている関係でした。その寺島しのぶ広末涼子たちの家族のもとに出家した後遊びに行って手料理を食べてくるという関係。そして、最後には同じ男を愛した同士のように一緒に死に行く豊川悦司の看病をしたり。

寺島しのぶが髪を剃るところが、さすが女優!!だと思いました。

寺島しのぶと、廣木隆一荒井晴彦って『ヴァイブレータ』だったり『やわらかい生活』だったり常連の映画製作者たちの仲間で作っているんだなぁって。

広末涼子演じる役が旦那の浮気相手に寛容というか、人間できているというか。

うちの母が、瀬戸内寂聴は素晴らしい着物ばかり着ていて、着物の好きな人だったよと言っていました。

恋愛だけではない人間として人を好きになるということが表された映画でした。

 

 

『ブルーベルベット』星4っつ★★★★#デヴィッド・リンチ

1986年のアメリカ合衆国のミステリー/スリラー映画。

監督がデヴィッド・リンチ

主演がカイル・マクラクラン

デヴィッド・リンチカイル・マクラクランとはアメリカ合衆国のドラマ『ツインピークス』と同じですね。

さらにツインピークスと同じところにはアメリカの田舎町で青い空、綺麗な花が咲き明るい町を想像させるところで起こる事件だというところ。

奇妙なのがカイル・マクラクランが家の近くで人間の耳を拾うところから始まるというところ。

何やら、デヴィッド・リンチのあやしい雰囲気が醸し出されます。

ツインピークスでは、アメリカの田舎のチェリーパイやコーヒーの雰囲気で私もこのドラマをおばさんのうちで観る時、ドーナツを持参して観たのを覚えています。

この映画ではそういう食べ物は出てこなかったけど、アメリカらしい音楽やこまどりがこの映画のきもとなるものなんだなぁと思いました。

昔からこの映画を一度は観たいと思っていたのですが、念願かないました。

ローラ・ダーンの役はこの奇妙な耳の発見からどんどん暗闇に落ち込んでいくカイル・マクラクランを明るいアメリカと言うものへ引き戻してくれる役割を持っていました。

こまどりが虫を食べていておばさんは気持ち悪いというのですが、どんなに明るく見える世界も虫のようなものを食んでいるという、象徴のような気がしました。

妖艶な感じが昔読んだ谷崎潤一郎の『刺青』を思い起こさせるのでした。

 

『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』星4.5点★★★★☆#押井守

1984年の日本の長編アニメーション映画。

高橋留美子原作のあの有名なうる星やつらの映画版。

監督が押井守

Youtuberで映画解説者のゆっこと言う人がうる星やつらのなかでも特別に変わっていて、監督が押井守で必見!!と言っていて、なおかつここ最近アマゾンで無料になっていたので観てみました。

うる星やつらでこんな深刻な映画を撮るのも珍しいと思うし、押井守だからやってくれたというのもある。

時間の感覚や自分の家だけ電気もガスも流れていて、近くのコンビニだけ食料供給がされているというので、深刻なんだけどそれでも明るい物語として観れるのが不思議です。

漫画『アイアムアヒーロー』とも違うし、小説『蠅の王』とも違う。

この映画の中心にはあたるとラムが確かにいるんだなぁ。

最初は学園祭のてんやわんやの中ここだけ時間が止まっているというか同じことの繰り返しでいつも学園祭前夜だというのが始まりなのだが、そのうちロビンソンクルーソーばりの生き残りをかけていて、そのうち飛行機に乗ってみたらまさかの事態になっていて、最後にはビューティフル・ドリーマーという映画の題名に納得させられて。

映像の中で風鈴がずーっとなっていて時間軸がおかしいと思うことがあったり、あたるが鏡にうつった世界みたいに何重になっていたり。

SF映画のような不思議があってどうなってしまうんだろうとドキドキしました。

押井守らしさが全開でした。

うる星やつらっていう感じがしないのも新鮮でした。

やっぱりこの映画は必見の映画でした。

 

『紙の月』星4っつ★★★★#宮沢りえ#角田光代

2014年の日本のクライム/スリラー映画。

原作が角田光代

主演が宮沢りえ

確か10年くらい前NHKのドラマで見たのが紙の月の初めての観賞だったと思います。母もそのドラマが好きでその後二人で映画版も観に行きました。そのドラマ版は主演が原田知世だったと思います。

うちの母が映画が観たいというけど、実際何を観せても寝るので母の好きなものということで繰り返し同じ映画を観るのでした。母の好きな映画は『八日目の蝉』とか名画とかだったので、いったい何を観せたら寝ないのか、いつも悩みます。私が観て面白いと思っている映画でもよく寝ています。

結構いいのが、NHKBSの昼の一時からやっている映画を観せると面白い映画も多いし、時間的にも夜観るより母が寝ないのではないか。

紙の月の題名の理由は偽物の月や偽物のお金なのだから宮沢りえ演じる主人公が自由になれる、と言うところでした。

紙の月は最後のほう宮沢りえ小林聡美が善悪や善悪を超えたところで対峙します、それに対し小林聡美があなたが行くことができるのはここまでで、この先はどこにも行けないというのですが、宮沢りえはそれを軽々と越えてその先に行ってしまう。

この映画は横領がばれるのではないか、ばれるのではないか、とドキドキします。

主人公の旦那も時計をあげてもこのくらいの(安い)時計は仕事には付けていけないなと言うのですが、ドラマ版はもっと嫌な旦那でした。田辺誠一の性格の良さなどで嫌な旦那が少しおさまってしまった気がします。

 

 

『アナザーラウンド』星4っつ★★★★

2020年のデンマークのコメディ/スリラー映画。

北欧の男の人って少し陰気な気がするのか、それともこの映画の主人公が少し暗く自分を吐き出さない人なのか。

その主人公で高校の社会の先生が仲間の先生4人と授業中にお酒を飲んで血中濃度を0.05パーセント以内にすればやる気にみなぎるという論文の成果を確かめるべくお酒を飲みだした。

生徒との関係も家族との関係も良好になっていき、最後はどうなるのか?という話。

北欧映画はフィンランドアキ・カウリスマキ監督映画とスウェーデンの『ミッドサマー』やスウェーデンのイングマル・ベルイマン監督映画くらいしか思いつかなかったがデンマークのお酒は16歳以上だとか、デンマークの文化が知れて良かった。

この映画の主人公は顔も背格好もかっこいいんだけど、退屈な先生と思われていて、でもどんどん情熱がみなぎっていき最後には苦い経験もするんだけど、それでもお酒は素晴らしい世界にも連れて行ってくれるという人生を謳歌する映画でもありました。

最後の主人公のジャズバレエダンスはきれっきれで、なおかつ一緒に流れている音楽はお酒の世界の人生を謳歌していて日本映画だとお酒の飲み過ぎは危険です、のような最後に終わってしまうんではないかと思うけど、そういうところも北欧のなおかつデンマークの文化が上手く表れているのではないかな。

デンマークの国歌って初めて聞いたような。サッカーとか好きな人は聞いたことあるかもしれないけど。

社会の授業中のヘミングウェイチャーチルの話が聞けて良かった。

 

『不思議惑星キン・ザ・ザ』星4っつ★★★★

1986年のソビエト連邦ディストピアコメディー・SF映画

カルト映画と言われていて、私も深くは知らないが名前だけは知っていてどんな映画だろうと楽しみにして観ました。

まず、とにかく変わっている。最初の出だしから砂漠の中にちゃっちい宇宙船のようなものが浮かんでいて、それにながれている音楽がとにかく変わっている。

音楽がどうゆうジャンルかは分からないが聞いたことのないような感じで音楽の感じからもコメディのような雰囲気をにおわせている。

主人公の主役のマシコフとゲテバンが二人ともいい味出している。

マシコフは処世術にもたけていて、相手にみくびられないようにマッチの取り引きを上手く宇宙人相手にしている。またゲテバンは血気盛んな大学生でこれまた宇宙人相手に人権を尊重するようにと言ってみたり。

途中、地球に帰れないと悟って、二人で死を覚悟した時の暗闇での演技が上手かった。

まさに悲しみが映像のなかであふれていた。

また、映画の最後の瞬間、この二人がクーの挨拶のようなものが体にしみこんでいて、思わず二人ともクーの挨拶をしたところであのずいぶん長い間一緒にいたお互いに気付き思わず感動するところに私も感動。

マシコフが斜に構えているようで結構友人を大切にしたり、約束をたがえないところが好きでした。

大道具、小道具が何もかもちゃちいのですがそれでいて、この映画の素っ頓狂なところが出ている大道具小道具だったんではないかと思います。

世界中には変な映画もあるもんなんだな(笑)

 

不思議惑星キン・ザ・ザ(字幕版)

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  • スタニスラフ・リュブシン
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『幸せのレシピ』星4.5点★★★★☆#キャサリン・ゼタ=ジョーンズ

2007年のアメリカ合衆国のコメディ/ロマンスの料理映画。

2001年のドイツ映画『マーサの幸せレシピ』のリメイク作品。

主演がキャサリン・ゼタ=ジョーンズ

キャサリン・ゼタ=ジョーンズって名前も顔も知っているけど出演作品を観るのはこれが初めてかもしれない。セクシィ女優と思っていたけど、体の線が美しい。

料理映画ってそれだけで十分楽しいが、この映画はそれに姪っ子の成長物語と同僚との恋愛要素があってさらに楽しい。

一流のシェフ、ケイトは自分の料理の確たるものがあるので、お客が難癖をつけてもそのお客と喧嘩になってしまう。そのことを良く思わないオーナーがケイトにセラピーをつける。

そのケイトの姉と姪っ子が交通事故にあってしまい、姉が亡くなり、姪っ子のジョーイをケイトがあずかることになり。ここまでのいきさつが『ミーガン』と同じだなぁと。

ミーガンの叔母は料理が苦手で食パンだけ食べさせていたりしたが、ケイトは当たり前だが料理上手で、なのにジョーイは食欲がなくケイトの同僚ニックがスパゲティを作てくれるところから料理に目覚めていく。

ジョーイの顔が哀川翔の娘の顔に似ているなぁ、などと考えていました。

ジョーイはケイトが失敗すると怒ってふてくされるが、やはり料理で打ち解けていく。

その怒っている表情がとても上手い子役だなぁと。

料理人同士の目隠しして入っている食材を当てるというゲームのようなものがすごくセクシィ。料理人にしかできない遊びだなぁ。

料理映画って観ていて美味しそうで幸せになります。

最後もハッピーエンドで素敵でした。

 

幸せのレシピ (字幕版)

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