映画が好きすぎる眼鏡女子の独り言

淀川長治に強い憧れがある映画感想家

『ザリガニの鳴くところ』星4.5点★★★★☆

2022年のアメリカ合衆国製作のミステリー・スリラー映画。

一人の男の死体がみつかり、その死体は他殺か事故か?ということで、沼地に住む一人の女性の一生が浮かび上がってくる。

子供の頃の親の虐待から美しい女性になるところなど。

そして、沼地の生物への深い造形や深い観察。

なかなかに面白い映画でした。

最後の結末にそうだったの?と思いましたが、結末がそうじゃなくても十分に面白い映画でした。昔観た『鑑定士と顔のない依頼人』をなんとなく思い出しました。

私は何の情報もなくこの映画を観ましたが、何の情報もなく観たほうがこの映画は面白いと思いました。

友達の家でのこの映画の観賞会でしたが、とても楽しめました。

今年の目標は少し映画館での鑑賞も増やそうかな、というところです。あと、海外現代文学も読もうと本屋でトマスピンチョンの本を見ていたら3000円もするようでびっくりしてしまいました。映画は映画館のほうが迫力もあり、没入感もあり楽しいですが、うちは父が車をやめ、私も車を運転しなくなったので映画館に行くのも一日がかり。でも、いい映画に出会いたいなぁと。

この映画の主人公の女性も綺麗な人だなっと。そして恋愛相手の人もかっこよく。背景に広がる自然も美しく。

孤独な女性の一生が浮かび上がる手法はなかなかに見ごたえがある。

お母さんが家を去り、兄弟姉妹が家を去り、一人貝を取って生計を立てての生活は過酷ででも湿地帯の自然が好きで絵を描いての生活は孤独だけど自然観察の点では神がかり的なところがあるんだろうな。

 

『君の膵臓をたべたい』星4っつ★★★★#浜辺美波#北村匠海#小栗旬

2017年の日本のドラマ映画。

原作が住野よる

噂で面白いと言われていたが、そうでもなくちょっとがっかり。

浜辺美波の演技がなんだかこんな女子いたらわざとらしくて嫌だなと思ったり。前に観た『今夜、世界からこの恋が消えても』の女の子に演技が似ているなと思ったり。こういう女子が今時流行っているのかな?仲良し君と呼びかけたり。

そのかわり、北村匠海の演技は良かったような気がする。本を読むのが好きな無口な同級生の役を魅力ある演技力でこなしている。

うちの母が一緒に観たがこの映画は薄っぺらいと言っていた。それでも、浜辺美波が明るい演技をしていて、実際共病文庫には苦しい胸の内を書いてあって、そこがみそなんだろうけど、それも母の一言では薄っぺらいんだろうな。

さんまが浜辺美波の演技を本人に褒めていて、さんまはそういう人が好きなんだろうな、と女性の趣味が分かったり。大竹しのぶを選ぶほうがずっと趣味がいい気がする。さんまの娘、いまるが父の選ぶ女性の趣味が悪いと言っていたが、そういうことなのかな、と思った。

多分、この映画は女子高生とかが観て感動したという映画なんだろうな。今夜、世界からこの恋が消えてもも、女子高生とかが好きな映画なんだろうなと思ったし。

だからか、どうも日本の映画は少し私には合わない気がする。

この映画を観ようか、『いま、会いにゆきます』と『寝ても覚めても』どれを観ようか悩んだけど、この選択は正しかったのだろうか?それともどれも似たようなものなのかな?

 

『過去のない男』星4点★★★★#アキ・カウリスマキ#カティ・オウティネン

2002年のフィンランドのコメディ・ロマンス映画。

監督がアキ・カウリスマキ

第55回カンヌ国際映画祭でグランプリとカティ・オウティネンが女優賞を受賞。

私は二度目の観賞。

昔観たときは面白くて面白くて、アキ・カウリスマキの映画の中で一番好きで星4.5点とか5点とかあげるくらい大好きだったんだけど、二度目の観賞で少し分かっているところがあるからなのか一度目ほど盛り上がれず。

隣で母がぐーぐー寝ているのがちょっと残念。

フィンランドの一般市民の暮らしやホームレスになるくらい貧困の中にいる人たちの暮らしぶりが分かってそういう意味では面白かった。

あと、省略が上手な編集や役者たちが映画の意味を分かりやすくするための演技とか。

音楽の使い方が凄く上手で日本の演歌やフィンランドのなんていう音楽かは知らないけど、感情をぐーっと揺さぶられる音楽が少し懐かしく独特で良かった。

アキ・カウリスマキはコメディの小技が利いていて編集やあとくすっと笑わせてくれるところがあって、この監督の感覚が面白いんだろうなと思ったり。

カティ・オウティネンが昔からアキ・カウリスマキの映画にいつも出てきて、少し老けたけど変わらないなぁとも思ったり。

寿司が出てきて箸を使っていて演歌が出てきて、日本が好きなんだろうなと思ったり。それも全然関係ないところに日本の文化が出てきて、この監督は日本好きなのだろうなと思ったり。アキ・カウリスマキの『希望のかなた』で大勉強の店というエプロンをしていながら全然安くしないというのが言葉の意味分かっているのかな?と思って可笑しかったり。日本を完全には理解していないところも可笑しくて好きです。

 

過去のない男 (字幕版)

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  • マルック・ペルトラ
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『バイオレント・ナイト』星3.5点★★★☆

2022年のアメリカ合衆国のクリスマス映画。

クリスマス映画だからと言ってクリスマスに観てもいいかというとちょっと考えてしまう。血がビシバシとでてくるし、下品で血まみれのサンタはクリスマスとちょっと違うような気がする。

この前見たYouTubeでこの映画を今年観た上半期の映画のトップにしている人がいたのでクリスマス映画だし、観てみるかと思ってでも下品だと言われていたので家族と観ず一人で視聴してみました。家族と観たら批難ゴーゴーだったと思うので一人で観てよかった。

確かにサンタクロースを信じるか信じないかがテーマにはなっているけど、ちょっとね。

この映画に出てくる女の子が『ホーム・アローン』が好きで真似しているところなんかは少し微笑ましかったですが、それでもちょっときついなぁと。

私の考えるクリスマス映画は一位『ポーラー・エクスプレス』二位『素晴らしき哉、人生!』三位『グリーンブック』四位『キャロル』五位『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』六位『ホーム・アローン』と思っていて、この映画はクリスマス映画に入れていいかはちょっと悩むところ。

クリスマス映画ではなく、バイオレンス映画としてはなかなかいい出来かもしれない。

映画ブログを作って今年初めて映画50本のブログを書けて良かったと思おうと共に、もう何本か観て今年最後を締めくくりたいなと思ったり。

毎年50本映画を観るのが私の一つの目標です。100本でもいいんだけど、100本だと私の場合それ以外がおろそかになってしまうのではないかと思ったり。

今年は目標が達成できて良かったな。

 

バイオレント・ナイト (字幕版)

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  • デヴィッド・ハーバー
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『ファーザー・クリスマス』星3.5点★★★☆

1991年のイギリスのファンタジー/アニメーション映画。

スノーマンの原作者と一緒でとても味のある雰囲気のいい絵を描きます。

スノーマンの原作者と一緒となると、昔観た『エセルとアーネスト』とも原作者が一緒ということですね。

絵本になった、ファーザー・クリスマスを映画化したものらしく。だから短い話だったし、それが子供向きなんだろうなと思いました。

イギリスではサンタクロースのことをファーザー・クリスマスと呼ぶんだそう。

クリスマスらしい映画を観ました。

クリスマスアニメーションなら話もボリュームのある『ポーラー・エクスプレス』のほうが好きだったな。もちろんファーザー・クリスマスにはこの映画の良さ(絵の味わい深さだったり、寒たがりなサンタの温かいところでの休暇という変わった話であったり)があると思うのですが。

この映画の途中にスノーマンが出てきて、エセルとアーネストの時も、ティーカップにスノーマンが出てきたり、この原作者にとってスノーマンは切っても切れない関係なんだろうな。

昔私が小学生頃にもスノーマンのイラストがついたグッズを買っていたような気がするので人気あるんだろうな。

クリスマスアニメーションにしろクリスマスが関係する映画にしろ観ていて楽しい気になります。私の場合あと、クリスマス音楽を聴いて楽しんでいます。

今年はシュトーレンもグリューワインも買わなかったから映画や音楽で楽しもう。クリスマスの準備を着々と進めている12月なのでした。ハッピークリスマス!!

 

『アステロイド・シティ』星4っつ★★★★#ウェス・アンダーソン

2023年のアメリカ合衆国のロマンス/コメディ映画。

監督がウェス・アンダーソン

友達がこの映画を観てくすくす笑えると言っていたが、その友達は英語が分かるからくすくす笑えたんだろうなと思った。私は宇宙人が来たところは笑えたけど他はほいほいそういう話かいと思ったくらいで。

それにしても宇宙人変な感じ~!!敵なんだか味方なんだか分からないし、なによりもすっとぼけている。

で、この映画の音楽どこかで聞き覚えがあるなぁと思ったらアレクサンドル・デスプラが音楽を手掛けているようで。『グランド・ブダペスト・ホテル』と似た音楽が使われていたんじゃないかな。特に宇宙人と会ったところの音楽とか。

後は、カントリー・ミュージックなどが使われていて、この底抜けに明るい映画にあった音楽でした。

ウェス・アンダーソンの魅力があふれている映画だったようで。

ステロイド・シティ自体が脚本家が作った舞台劇だし、それを一幕二幕と演じていき、最後らへんどういう落ちにしようか考えあぐねていて、脚本家たちが一斉にどういう話にしようか考えていたところがウェス・アンダーソンらしい。映画の中の虚構の中の虚構というのがいかにもこの監督らしい。

この前観た『フレンチ・ディスパッチ』の映画の中の雑誌というのも面白い映画でしたが、この映画も映画の中の演劇という風に彼らしい作風で。

ウェス・アンダーソン監督の映画に順番をつけるなら一位『グランド・ブダペスト・ホテル』二位『フレンチ・ディスパッチ』三位『アステロイド・シティ』四位『犬ヶ島』というところか。

 

『TAR/ター』星4.5点★★★★☆#ケイト・ブランシェット 自分の鑑賞力が足りず付け足しました。

2022年のアメリカ合衆国のドラマ映画。

主演がケイト・ブランシェット

ターという女性指揮者の話。

ターを性暴力や若い音楽に有望な女性を好きになる女性とは感じず浅い理解になってしまいました。後から考察してみるとかなり難解で深い話だったようで。

完璧を求める指揮者ターが教えているジュリアード音楽院で自分と意見の合わない教え子を諭そうとして問題が起こる。

完璧主義者であり、時には冷徹に先生であり、指揮者であり、子供のお父さん(女性だけど)であり、夫婦であり、作曲者であり、と多忙に暮らしていて。映画を観た後、解説を読んでそんな話だったのか?と初めて知ったのがクリスタの存在でした。名前と顔が一致しない。

ところが、一つつまずくとどこまでも坂を転げまわっていくようになり。

それでも、最後のほうで変わらずに威厳があり、指揮者としても人としても自分を見失っていなかったところがかっこよかった。最後のほう指揮はモンスターハンターゲーム音楽の指揮だったようで。だから、ヘッドホンを付けていたんだな。指揮者を音楽全体をリードする人と位置付けていたターからすると屈辱的に見えるヘッドホン。それでも、音楽に対する情熱は変わらなかったということで、ここで初めてターを褒めたのがこの監督の本心だったようで。

ケイト・ブランシェットの演技が光る。

この映画のポスター写真がこの映画を物語っているようで。

音楽に疎い私ですが、この映画の音楽を聴くと確かにチェロはこの人のほうが上手いよなとか、この指揮者のためが長すぎる、そうかもしれない、とか考えさせられた。

プレッシャーにやられそうになるくらい、常に緊張感があって、権力の中枢にいてでも、この役はケイト・ブランシェットだからできた役なのかもと。

友達はケイト・ブランシェットはクールビューティーでかっこいいと言っていたがまさにそう。

『キャロル』の時のマダムの役も良かったが、ターでまた新しい地平をつかんだようだ。アジアの地に行って、マッサージの店を探し出したのだが、その風俗のような店で指名する仕組みがまたオーケストラのようで。一人顔をあげている人の場所がオルガの場所と似ていて。自分の今まで性暴力やお気に入りの登用にこのマッサージ店で嫌気がさしたのか、ターは店の外で吐き気をもよおしてしまう。

こういう格好良く、ピリピリした役の似合う役者も珍しいのだろう。

最後のスタッフロールの音楽も好きでした。

音楽の威厳を知る映画でした。

色々な作曲者の名前がスタッフロールに出てきておおっと思いました。

この映画の最終的に言わんとしていることは、性暴力と才能の関係や、ターの自分本位な権力の使い方や。どんな地位になろうとそれでも音楽を愛した一人の人間のことだったのだと思います。ジャニーズ事務所のことも考えると性暴力は許されることではないのだと思います。ここまで、最初の一回観ただけでは見つけられなかったのが残念。