映画が好きすぎる眼鏡女子の独り言

淀川長治に強い憧れがある映画感想家

『紙の月』星4っつ★★★★#宮沢りえ#角田光代

2014年の日本のクライム/スリラー映画。

原作が角田光代

主演が宮沢りえ

確か10年くらい前NHKのドラマで見たのが紙の月の初めての観賞だったと思います。母もそのドラマが好きでその後二人で映画版も観に行きました。そのドラマ版は主演が原田知世だったと思います。

うちの母が映画が観たいというけど、実際何を観せても寝るので母の好きなものということで繰り返し同じ映画を観るのでした。母の好きな映画は『八日目の蝉』とか名画とかだったので、いったい何を観せたら寝ないのか、いつも悩みます。私が観て面白いと思っている映画でもよく寝ています。

結構いいのが、NHKBSの昼の一時からやっている映画を観せると面白い映画も多いし、時間的にも夜観るより母が寝ないのではないか。

紙の月の題名の理由は偽物の月や偽物のお金なのだから宮沢りえ演じる主人公が自由になれる、と言うところでした。

紙の月は最後のほう宮沢りえ小林聡美が善悪や善悪を超えたところで対峙します、それに対し小林聡美があなたが行くことができるのはここまでで、この先はどこにも行けないというのですが、宮沢りえはそれを軽々と越えてその先に行ってしまう。

この映画は横領がばれるのではないか、ばれるのではないか、とドキドキします。

主人公の旦那も時計をあげてもこのくらいの(安い)時計は仕事には付けていけないなと言うのですが、ドラマ版はもっと嫌な旦那でした。田辺誠一の性格の良さなどで嫌な旦那が少しおさまってしまった気がします。

 

 

『アナザーラウンド』星4っつ★★★★

2020年のデンマークのコメディ/スリラー映画。

北欧の男の人って少し陰気な気がするのか、それともこの映画の主人公が少し暗く自分を吐き出さない人なのか。

その主人公で高校の社会の先生が仲間の先生4人と授業中にお酒を飲んで血中濃度を0.05パーセント以内にすればやる気にみなぎるという論文の成果を確かめるべくお酒を飲みだした。

生徒との関係も家族との関係も良好になっていき、最後はどうなるのか?という話。

北欧映画はフィンランドアキ・カウリスマキ監督映画とスウェーデンの『ミッドサマー』やスウェーデンのイングマル・ベルイマン監督映画くらいしか思いつかなかったがデンマークのお酒は16歳以上だとか、デンマークの文化が知れて良かった。

この映画の主人公は顔も背格好もかっこいいんだけど、退屈な先生と思われていて、でもどんどん情熱がみなぎっていき最後には苦い経験もするんだけど、それでもお酒は素晴らしい世界にも連れて行ってくれるという人生を謳歌する映画でもありました。

最後の主人公のジャズバレエダンスはきれっきれで、なおかつ一緒に流れている音楽はお酒の世界の人生を謳歌していて日本映画だとお酒の飲み過ぎは危険です、のような最後に終わってしまうんではないかと思うけど、そういうところも北欧のなおかつデンマークの文化が上手く表れているのではないかな。

デンマークの国歌って初めて聞いたような。サッカーとか好きな人は聞いたことあるかもしれないけど。

社会の授業中のヘミングウェイチャーチルの話が聞けて良かった。

 

『不思議惑星キン・ザ・ザ』星4っつ★★★★

1986年のソビエト連邦ディストピアコメディー・SF映画

カルト映画と言われていて、私も深くは知らないが名前だけは知っていてどんな映画だろうと楽しみにして観ました。

まず、とにかく変わっている。最初の出だしから砂漠の中にちゃっちい宇宙船のようなものが浮かんでいて、それにながれている音楽がとにかく変わっている。

音楽がどうゆうジャンルかは分からないが聞いたことのないような感じで音楽の感じからもコメディのような雰囲気をにおわせている。

主人公の主役のマシコフとゲテバンが二人ともいい味出している。

マシコフは処世術にもたけていて、相手にみくびられないようにマッチの取り引きを上手く宇宙人相手にしている。またゲテバンは血気盛んな大学生でこれまた宇宙人相手に人権を尊重するようにと言ってみたり。

途中、地球に帰れないと悟って、二人で死を覚悟した時の暗闇での演技が上手かった。

まさに悲しみが映像のなかであふれていた。

また、映画の最後の瞬間、この二人がクーの挨拶のようなものが体にしみこんでいて、思わず二人ともクーの挨拶をしたところであのずいぶん長い間一緒にいたお互いに気付き思わず感動するところに私も感動。

マシコフが斜に構えているようで結構友人を大切にしたり、約束をたがえないところが好きでした。

大道具、小道具が何もかもちゃちいのですがそれでいて、この映画の素っ頓狂なところが出ている大道具小道具だったんではないかと思います。

世界中には変な映画もあるもんなんだな(笑)

 

不思議惑星キン・ザ・ザ(字幕版)

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  • スタニスラフ・リュブシン
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『幸せのレシピ』星4.5点★★★★☆#キャサリン・ゼタ=ジョーンズ

2007年のアメリカ合衆国のコメディ/ロマンスの料理映画。

2001年のドイツ映画『マーサの幸せレシピ』のリメイク作品。

主演がキャサリン・ゼタ=ジョーンズ

キャサリン・ゼタ=ジョーンズって名前も顔も知っているけど出演作品を観るのはこれが初めてかもしれない。セクシィ女優と思っていたけど、体の線が美しい。

料理映画ってそれだけで十分楽しいが、この映画はそれに姪っ子の成長物語と同僚との恋愛要素があってさらに楽しい。

一流のシェフ、ケイトは自分の料理の確たるものがあるので、お客が難癖をつけてもそのお客と喧嘩になってしまう。そのことを良く思わないオーナーがケイトにセラピーをつける。

そのケイトの姉と姪っ子が交通事故にあってしまい、姉が亡くなり、姪っ子のジョーイをケイトがあずかることになり。ここまでのいきさつが『ミーガン』と同じだなぁと。

ミーガンの叔母は料理が苦手で食パンだけ食べさせていたりしたが、ケイトは当たり前だが料理上手で、なのにジョーイは食欲がなくケイトの同僚ニックがスパゲティを作てくれるところから料理に目覚めていく。

ジョーイの顔が哀川翔の娘の顔に似ているなぁ、などと考えていました。

ジョーイはケイトが失敗すると怒ってふてくされるが、やはり料理で打ち解けていく。

その怒っている表情がとても上手い子役だなぁと。

料理人同士の目隠しして入っている食材を当てるというゲームのようなものがすごくセクシィ。料理人にしかできない遊びだなぁ。

料理映画って観ていて美味しそうで幸せになります。

最後もハッピーエンドで素敵でした。

 

幸せのレシピ (字幕版)

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『ザリガニの鳴くところ』星4.5点★★★★☆

2022年のアメリカ合衆国製作のミステリー・スリラー映画。

一人の男の死体がみつかり、その死体は他殺か事故か?ということで、沼地に住む一人の女性の一生が浮かび上がってくる。

子供の頃の親の虐待から美しい女性になるところなど。

そして、沼地の生物への深い造形や深い観察。

なかなかに面白い映画でした。

最後の結末にそうだったの?と思いましたが、結末がそうじゃなくても十分に面白い映画でした。昔観た『鑑定士と顔のない依頼人』をなんとなく思い出しました。

私は何の情報もなくこの映画を観ましたが、何の情報もなく観たほうがこの映画は面白いと思いました。

友達の家でのこの映画の観賞会でしたが、とても楽しめました。

今年の目標は少し映画館での鑑賞も増やそうかな、というところです。あと、海外現代文学も読もうと本屋でトマスピンチョンの本を見ていたら3000円もするようでびっくりしてしまいました。映画は映画館のほうが迫力もあり、没入感もあり楽しいですが、うちは父が車をやめ、私も車を運転しなくなったので映画館に行くのも一日がかり。でも、いい映画に出会いたいなぁと。

この映画の主人公の女性も綺麗な人だなっと。そして恋愛相手の人もかっこよく。背景に広がる自然も美しく。

孤独な女性の一生が浮かび上がる手法はなかなかに見ごたえがある。

お母さんが家を去り、兄弟姉妹が家を去り、一人貝を取って生計を立てての生活は過酷ででも湿地帯の自然が好きで絵を描いての生活は孤独だけど自然観察の点では神がかり的なところがあるんだろうな。

 

『君の膵臓をたべたい』星4っつ★★★★#浜辺美波#北村匠海#小栗旬

2017年の日本のドラマ映画。

原作が住野よる

噂で面白いと言われていたが、そうでもなくちょっとがっかり。

浜辺美波の演技がなんだかこんな女子いたらわざとらしくて嫌だなと思ったり。前に観た『今夜、世界からこの恋が消えても』の女の子に演技が似ているなと思ったり。こういう女子が今時流行っているのかな?仲良し君と呼びかけたり。

そのかわり、北村匠海の演技は良かったような気がする。本を読むのが好きな無口な同級生の役を魅力ある演技力でこなしている。

うちの母が一緒に観たがこの映画は薄っぺらいと言っていた。それでも、浜辺美波が明るい演技をしていて、実際共病文庫には苦しい胸の内を書いてあって、そこがみそなんだろうけど、それも母の一言では薄っぺらいんだろうな。

さんまが浜辺美波の演技を本人に褒めていて、さんまはそういう人が好きなんだろうな、と女性の趣味が分かったり。大竹しのぶを選ぶほうがずっと趣味がいい気がする。さんまの娘、いまるが父の選ぶ女性の趣味が悪いと言っていたが、そういうことなのかな、と思った。

多分、この映画は女子高生とかが観て感動したという映画なんだろうな。今夜、世界からこの恋が消えてもも、女子高生とかが好きな映画なんだろうなと思ったし。

だからか、どうも日本の映画は少し私には合わない気がする。

この映画を観ようか、『いま、会いにゆきます』と『寝ても覚めても』どれを観ようか悩んだけど、この選択は正しかったのだろうか?それともどれも似たようなものなのかな?

 

『過去のない男』星4点★★★★#アキ・カウリスマキ#カティ・オウティネン

2002年のフィンランドのコメディ・ロマンス映画。

監督がアキ・カウリスマキ

第55回カンヌ国際映画祭でグランプリとカティ・オウティネンが女優賞を受賞。

私は二度目の観賞。

昔観たときは面白くて面白くて、アキ・カウリスマキの映画の中で一番好きで星4.5点とか5点とかあげるくらい大好きだったんだけど、二度目の観賞で少し分かっているところがあるからなのか一度目ほど盛り上がれず。

隣で母がぐーぐー寝ているのがちょっと残念。

フィンランドの一般市民の暮らしやホームレスになるくらい貧困の中にいる人たちの暮らしぶりが分かってそういう意味では面白かった。

あと、省略が上手な編集や役者たちが映画の意味を分かりやすくするための演技とか。

音楽の使い方が凄く上手で日本の演歌やフィンランドのなんていう音楽かは知らないけど、感情をぐーっと揺さぶられる音楽が少し懐かしく独特で良かった。

アキ・カウリスマキはコメディの小技が利いていて編集やあとくすっと笑わせてくれるところがあって、この監督の感覚が面白いんだろうなと思ったり。

カティ・オウティネンが昔からアキ・カウリスマキの映画にいつも出てきて、少し老けたけど変わらないなぁとも思ったり。

寿司が出てきて箸を使っていて演歌が出てきて、日本が好きなんだろうなと思ったり。それも全然関係ないところに日本の文化が出てきて、この監督は日本好きなのだろうなと思ったり。アキ・カウリスマキの『希望のかなた』で大勉強の店というエプロンをしていながら全然安くしないというのが言葉の意味分かっているのかな?と思って可笑しかったり。日本を完全には理解していないところも可笑しくて好きです。

 

過去のない男 (字幕版)

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  • マルック・ペルトラ
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