映画が好きすぎる眼鏡女子の独り言

淀川長治に強い憧れがある映画感想家

『バイオレント・ナイト』星3.5点★★★☆

2022年のアメリカ合衆国のクリスマス映画。

クリスマス映画だからと言ってクリスマスに観てもいいかというとちょっと考えてしまう。血がビシバシとでてくるし、下品で血まみれのサンタはクリスマスとちょっと違うような気がする。

この前見たYouTubeでこの映画を今年観た上半期の映画のトップにしている人がいたのでクリスマス映画だし、観てみるかと思ってでも下品だと言われていたので家族と観ず一人で視聴してみました。家族と観たら批難ゴーゴーだったと思うので一人で観てよかった。

確かにサンタクロースを信じるか信じないかがテーマにはなっているけど、ちょっとね。

この映画に出てくる女の子が『ホーム・アローン』が好きで真似しているところなんかは少し微笑ましかったですが、それでもちょっときついなぁと。

私の考えるクリスマス映画は一位『ポーラー・エクスプレス』二位『素晴らしき哉、人生!』三位『グリーンブック』四位『キャロル』五位『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』六位『ホーム・アローン』と思っていて、この映画はクリスマス映画に入れていいかはちょっと悩むところ。

クリスマス映画ではなく、バイオレンス映画としてはなかなかいい出来かもしれない。

映画ブログを作って今年初めて映画50本のブログを書けて良かったと思おうと共に、もう何本か観て今年最後を締めくくりたいなと思ったり。

毎年50本映画を観るのが私の一つの目標です。100本でもいいんだけど、100本だと私の場合それ以外がおろそかになってしまうのではないかと思ったり。

今年は目標が達成できて良かったな。

 

バイオレント・ナイト (字幕版)

バイオレント・ナイト (字幕版)

  • デヴィッド・ハーバー
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『ファーザー・クリスマス』星3.5点★★★☆

1991年のイギリスのファンタジー/アニメーション映画。

スノーマンの原作者と一緒でとても味のある雰囲気のいい絵を描きます。

スノーマンの原作者と一緒となると、昔観た『エセルとアーネスト』とも原作者が一緒ということですね。

絵本になった、ファーザー・クリスマスを映画化したものらしく。だから短い話だったし、それが子供向きなんだろうなと思いました。

イギリスではサンタクロースのことをファーザー・クリスマスと呼ぶんだそう。

クリスマスらしい映画を観ました。

クリスマスアニメーションなら話もボリュームのある『ポーラー・エクスプレス』のほうが好きだったな。もちろんファーザー・クリスマスにはこの映画の良さ(絵の味わい深さだったり、寒たがりなサンタの温かいところでの休暇という変わった話であったり)があると思うのですが。

この映画の途中にスノーマンが出てきて、エセルとアーネストの時も、ティーカップにスノーマンが出てきたり、この原作者にとってスノーマンは切っても切れない関係なんだろうな。

昔私が小学生頃にもスノーマンのイラストがついたグッズを買っていたような気がするので人気あるんだろうな。

クリスマスアニメーションにしろクリスマスが関係する映画にしろ観ていて楽しい気になります。私の場合あと、クリスマス音楽を聴いて楽しんでいます。

今年はシュトーレンもグリューワインも買わなかったから映画や音楽で楽しもう。クリスマスの準備を着々と進めている12月なのでした。ハッピークリスマス!!

 

『アステロイド・シティ』星4っつ★★★★#ウェス・アンダーソン

2023年のアメリカ合衆国のロマンス/コメディ映画。

監督がウェス・アンダーソン

友達がこの映画を観てくすくす笑えると言っていたが、その友達は英語が分かるからくすくす笑えたんだろうなと思った。私は宇宙人が来たところは笑えたけど他はほいほいそういう話かいと思ったくらいで。

それにしても宇宙人変な感じ~!!敵なんだか味方なんだか分からないし、なによりもすっとぼけている。

で、この映画の音楽どこかで聞き覚えがあるなぁと思ったらアレクサンドル・デスプラが音楽を手掛けているようで。『グランド・ブダペスト・ホテル』と似た音楽が使われていたんじゃないかな。特に宇宙人と会ったところの音楽とか。

後は、カントリー・ミュージックなどが使われていて、この底抜けに明るい映画にあった音楽でした。

ウェス・アンダーソンの魅力があふれている映画だったようで。

ステロイド・シティ自体が脚本家が作った舞台劇だし、それを一幕二幕と演じていき、最後らへんどういう落ちにしようか考えあぐねていて、脚本家たちが一斉にどういう話にしようか考えていたところがウェス・アンダーソンらしい。映画の中の虚構の中の虚構というのがいかにもこの監督らしい。

この前観た『フレンチ・ディスパッチ』の映画の中の雑誌というのも面白い映画でしたが、この映画も映画の中の演劇という風に彼らしい作風で。

ウェス・アンダーソン監督の映画に順番をつけるなら一位『グランド・ブダペスト・ホテル』二位『フレンチ・ディスパッチ』三位『アステロイド・シティ』四位『犬ヶ島』というところか。

 

『TAR/ター』星4.5点★★★★☆#ケイト・ブランシェット 自分の鑑賞力が足りず付け足しました。

2022年のアメリカ合衆国のドラマ映画。

主演がケイト・ブランシェット

ターという女性指揮者の話。

ターを性暴力や若い音楽に有望な女性を好きになる女性とは感じず浅い理解になってしまいました。後から考察してみるとかなり難解で深い話だったようで。

完璧を求める指揮者ターが教えているジュリアード音楽院で自分と意見の合わない教え子を諭そうとして問題が起こる。

完璧主義者であり、時には冷徹に先生であり、指揮者であり、子供のお父さん(女性だけど)であり、夫婦であり、作曲者であり、と多忙に暮らしていて。映画を観た後、解説を読んでそんな話だったのか?と初めて知ったのがクリスタの存在でした。名前と顔が一致しない。

ところが、一つつまずくとどこまでも坂を転げまわっていくようになり。

それでも、最後のほうで変わらずに威厳があり、指揮者としても人としても自分を見失っていなかったところがかっこよかった。最後のほう指揮はモンスターハンターゲーム音楽の指揮だったようで。だから、ヘッドホンを付けていたんだな。指揮者を音楽全体をリードする人と位置付けていたターからすると屈辱的に見えるヘッドホン。それでも、音楽に対する情熱は変わらなかったということで、ここで初めてターを褒めたのがこの監督の本心だったようで。

ケイト・ブランシェットの演技が光る。

この映画のポスター写真がこの映画を物語っているようで。

音楽に疎い私ですが、この映画の音楽を聴くと確かにチェロはこの人のほうが上手いよなとか、この指揮者のためが長すぎる、そうかもしれない、とか考えさせられた。

プレッシャーにやられそうになるくらい、常に緊張感があって、権力の中枢にいてでも、この役はケイト・ブランシェットだからできた役なのかもと。

友達はケイト・ブランシェットはクールビューティーでかっこいいと言っていたがまさにそう。

『キャロル』の時のマダムの役も良かったが、ターでまた新しい地平をつかんだようだ。アジアの地に行って、マッサージの店を探し出したのだが、その風俗のような店で指名する仕組みがまたオーケストラのようで。一人顔をあげている人の場所がオルガの場所と似ていて。自分の今まで性暴力やお気に入りの登用にこのマッサージ店で嫌気がさしたのか、ターは店の外で吐き気をもよおしてしまう。

こういう格好良く、ピリピリした役の似合う役者も珍しいのだろう。

最後のスタッフロールの音楽も好きでした。

音楽の威厳を知る映画でした。

色々な作曲者の名前がスタッフロールに出てきておおっと思いました。

この映画の最終的に言わんとしていることは、性暴力と才能の関係や、ターの自分本位な権力の使い方や。どんな地位になろうとそれでも音楽を愛した一人の人間のことだったのだと思います。ジャニーズ事務所のことも考えると性暴力は許されることではないのだと思います。ここまで、最初の一回観ただけでは見つけられなかったのが残念。

『バービー』星4点★★★★

2023年のアメリカ合衆国製作のコメディ・ファンタジー映画。

日本で言うリカちゃん人形、アメリカのバービー人形の実写化。

女性のフェミニスト運動や生き方を問うた話。

バービーの国ではバービーが主人公で大統領もノーベル文学賞も女性が取っている。

その完璧なはずのバービーの国でバービーが死を考えたり、セルライトが出てきたり、しまいにはヒールを履くはずの足がぺたんこ足になってしまい、人間界に行ってそれを直そうとする話。

バービーの国ではいつも楽しくダンスパーティーを毎日やって悩みのないバービーだったが、人間界に行ったらひどい言葉を投げかけられるは、警察に捕まるは自分に自信が無くなって泣いてばかり。

人形の主人である人間に救われ、バービーの国に帰っていくがそこはバービーの国ではなく、男くさいケンの国になっていた。

フェミニズムを考えるにあたって、女性の地位が低いからフェミニズムを考えるんであって、バービーの国のケンは同じように男性の地位が低いから男性の地位向上を考えるのでしょう。

最後の結末が考えさせられました。

ただ恋愛をすればいいとそういうことではなく、人形が人間になりたくなるそれが完璧なバービーじゃなくてもというのがこの映画のいいたいことなんだろうな。

私の書いた脚本が最後恋愛で終わっていたので、そうじゃないんだと深く考えさせられました。

バービー役の女優さんがとても綺麗でそれだけでなく、人形なのに人間らしく頭もよくなっていくというのがとても素敵でした。

 

『マッチ工場の少女』星4っつ★★★★#アキ・カウリスマキ#カティ・オウティネン

1990年のフィンランドのコメディ・スリラー映画。

監督がアキ・カウリスマキ

アキ・カウリスマキ映画は何本か観ていて『浮雲』とか『過去のない男』とか『希望のかなた』とか他にも観ているんだろうけどちょっと忘れてしまった。

過去のない男アキ・カウリスマキ監督の中で一番好きだったと思っています。

音楽の使い方が独特で日本の演歌を使う時もありますが、日本の演歌でなくても、演歌っぽい音楽が好きなんだろうな。

そして編集の仕方が潔い。編集の仕方もこの監督独自色なんだよなぁ。言葉をかなり排していて、画がポンポンと飛ぶんだけど、どういうことなのかは分かりやすい。

フィンランドを代表する監督で、フィンランドという国を知れるのにもってこい。

確かアキ・カウリスマキにはお兄さんがいてミカ・カウリスマキと言ってお兄さんも映画監督をやっていたような。ずいぶん昔の話だから今はどうなっているかは分からないけど。

この映画の中では喫煙率がとても多いようで。

浮雲とかでは日本のsony社の家電がいっぱい出てきて、フィンランドではsony社の家電をもっていると、一流のお墨付きがもらえるんだとか。

このマッチ工場の少女では自分を裏切っていった人をどんどん殺していくんだけど、この映画を観てコメディと言っているところがちょっとおかしいんじゃないかと(苦笑)

アキ・カウリスマキ映画の女優カティ・オウティネンの無表情の演技が光ります。この女優さん歳とっても全然変わらないなぁ。

結構短い映画でした。

 

マッチ工場の少女 (字幕版)

マッチ工場の少女 (字幕版)

  • カティ・オウティネン
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『暗殺の森』星4.5点★★★★☆#ベルナルド・ベルトルッチ

1970年のイタリア・フランス・西ドイツ製作のスリラー・フィルムノワール映画。

監督がベルナルド・ベルトルッチ

ベルナルド・ベルトルッチ監督は『ラストエンペラー』とかで有名な監督ですよね。

この『暗殺の森』という映画が、ベルナルド・ベルトルッチ監督の最高傑作とも言われています。

亡くなった監督だということを今日知りました。

最高傑作と言われたり、好きな映画ベストテンに選ばれていたり、なんでこの映画がこんなに評価が高いのかというと、一人の人間がファシズムに走った複雑な心理描写だったり、人間の人格形成になった物事や感情が表現されているからだと思います。

簡単に表現できないことがこの映画では表現されているので、評価が高いのでしょう。

そして、ファシズムに走った人間にとって、イタリアという国がそのファシズムを拒否した後、どう生きるのかというのが問われているのだと思います。

その、ファシズムに走った根本が自分を性被害しそうになった人を自分が殺したんじゃないかという罪悪感からだったのだと思います。

それゆえ、自分の父親を刑務所に入れ、自分の大学の頃の恩師を殺してしまう結果になったのでしょう。

ただ、真面目な生徒だったゆえ、大学の教授がその一人の真面目な生徒を見捨てず、亡命せずに向き合っていたらこんな結果にもその生徒がファシズムにも走らなかったんじゃないかなとぼんやりと思うのですが。

斜めの画角で映画を撮ったり、音楽が独特だったり映画表現にも一味違う表現がされていておっと思ったりしました。

複雑で難しい映画で私も映画の感想を表現しづらいです。