映画が好きすぎる眼鏡女子の独り言

淀川長治に強い憧れがある映画感想家

『愛を読む人』星四つ★★★★#ケイト・ウィンスレット#レイフ・ファインズ#ブルーノ・ガンツ

2008年のロマンスドラマ映画。

20年位前この映画の原作の『朗読者』という本を読んだことがあったので話の内容は知っていました。

私は本も映画もどちらも好きだったなぁ。

ケイト・ウィンスレットが『タイタニック』で豪華でとても綺麗な女性を演じてから10年以上たって、すっかりおばさんになってからのそれでも魅力的な女性を描いたんだなぁ。

タイタニックはかなり異次元の美しさがあったけど、この映画はリアリティのある美しさだな。

最初、主人公のこの男の子にしてみたらひと夏の恋なのかな?と思ったらもっと重くて罪の意識のある一生ものの恋愛だったことが分かりました。

なんで途中まで行ったのにハンナに面会に行かないのかな?と思ったら、多分ハンナがやった過去の事件が主人公的に許せなかったからなのかな?と思ったり。

ハンナを迎えに行った時も過去のことを思い出して学ぶことはないか?という問いに私がどう思おうが死んだ人はかえってこない、というのがハンナの過去との向き合い方だったんだろうなと思います。

これからの静かで希望に満ちた世界よりも過去の自分の罪に向き合いたかったんだと、そういう選択の仕方でした。

愛を読む人の読むっていうところがこの映画のミステリーの部分だったんでしょうね。朗読者も愛を読む人もこの話の核心に迫っていていい題名です。

この映画の何がいいってケイト・ウィンスレットの魅力や演技力、年を取ってからのおばあさん役など彼女の役者としての技量に脱帽します。

恋愛だけじゃないドイツの苦しみも重みもある映画でした。

 

 

『キャロル』星四つ★★★★#ケイト・ブランシェット

2015年のイギリスのロマンスドラマ映画。

なんの予備知識もなくクリスマス近くに出会った二人の話ということで、クリスマスに近くなったから観てみた映画です。

女性同士の恋愛の話とは思わず観たからびっくりしてしまった。

ただ、ケイト・ブランシェット演じるキャロルはお金持ちで上流階級の品を持っていて、同じ女性から見ても魅力的な女性に見える。

しかも才能を見分ける力も持っているようでテレーズの写真家の実力を見分けたのがさらに魅力的に感じる。

同性でも異性でも尊敬のねんを持っている人の特別な存在になりたいという気は分かるのですが、そこまでは分かるのですがそれ以上の恋愛にならないのは私がやはり男性にしか恋愛感情を持てないところから来るのでしょう。

逆にキャロルはテレーズのどんなところに惹かれたのかな?

若くても自分の意思を持っていて、人とは違った感性を持っているところかな?

ケイト・ブランシェットは『エリザベス』を観た友達が女性だけどかっこいいクールビューティーだと言っていたがまさにクールビューティーそのもの。

キャロルとテレーズの旅行が終わって、自分を好きでいていくれた男の子たちがそれなりの女の子とクリスマスのデートをしているところを見ると、自分はその人たちの特別な存在ではなかったというのが分かります。

それで自分自身の気持ち的にキャロルを好きなことと、キャロルも自分を特別な人として見てくれるということで最後の微笑みになったのでしょう。

テレーズが綺麗になっていくところが素敵でした。

 

 

『テネット』星4.5点★★★★☆#クリストファー・ノーラン

クリストファー・ノーランやってくれたぜ!!

2020年アクション・SF映画。監督はクリストファー・ノーラン

コロナで映画館が封鎖の中、それでも映画館で映画を観てほしいとクリストファー・ノーランが2020年に放映した映画。

アクション大作は一番最初にクリストファー・ノーランの映画を観たときから変わらず時間を中心においていて、というより進化して映画の中の時間軸を脳天直撃の賢さを求めて続いています。

私は『メメント』の時から頭を使わせる映画に感動していましたが、とうとうこういう域に達したか。

最後のほうがちょっと分からなかったんだけど、もう一回観ようか、情報を求めてネットで調べようかしているところ。

メメントの時は確か何分だかしか記憶を維持できない人の話しで最後にこういう結末かとちょっと後味が悪かったんだけど、テネットはあの人あんなに元気なのに今亡くなったのを知ったり、自分が黒幕ってどういうことだろう?と思ったり。

とうとう時間軸は最初は敵だと思っていたものがなんとそういうことだったのね、と思わせたり。

テネットがTENETとなっていて前から読んでもテネット。後ろから読んでもテネット。でこの映画の時間軸や根本的な考え方から映画に合う題名だったなぁ。

相棒役のニールがいい味出しています。

今まで観たクリストファー・ノーラン作品は全部いいです。

この年末にかけてあまり評判の良くない『ダンケルク』を観てみようと思います。それが面白いようならこの監督何もかも面白いんだなと思うなぁ。

5作品観て5作品ともいい監督なんて最高だと思います。

万歳!!!

 

TENET テネット(字幕版)

TENET テネット(字幕版)

  • ジョン・デイビッド・ワシントン
Amazon

 

『ファンタスティック・プラネット』星五つ★★★★★

1973年のフランス・チェコスロバキアの合作映画。SFアニメーションの金字塔。

す、すごい!!くせになる。

音楽も絵柄も世界観もインパクトあり。

人間が虫けらのように扱われている。

この映画絶対思想が入ってきていると思う。けど、その思想がどんなものなのか?よりアニメーションがめちゃくちゃ面白いと思わせる。

す、すごすぎる。

この映画の中のペットとして飼われている人間がシュール。髪の毛結び付けられて戦っている人間や主人公のテールの洋服が何とも言えない。

はまりそう。

まず、音楽が今までこういう音楽は聴いたことなかったけど、サントラあるなら買いたい。

こういう映画があるというのは何となく知っていたけど、観てみてびっくり。

かなりくせになる。

好きというより、くせになるというのが言葉としては適切。好きというのとは違うのは悪いものを観ているような気がするんだけど、観るのがやめられない、という感じ。

最初のお母さんが子供を抱き寄せて逃げているところに巨大な青い手がお母さんを持ち上げてっていうところでもう引き込まれる。

今年観た映画の中で一番だったなぁ。

アニメーションの雰囲気もあって、3DCG では作れない私の生まれる前の映画。

最後のほうの話の展開も良かった。

なんなんだこれは。

どういう人が作っているのか?どういう話の展開か?全然知らずに観たから特に印象が強い。

今年はSFをクリストファー・ノーランで観て感動して、でもファンタスティック・プラネットのなんじゃこりゃ?感に軍配あり(笑)

 

 

『糸』星4点★★★★#菅田将暉#小松菜奈

2020年日本のロマンス映画。

菅田将暉さん小松菜奈さんご結婚おめでとうございます!!

中島みゆきの名曲『糸』が映画化されたものです。

前に『溺れるナイフ』を観て菅田将暉さんと小松菜奈さんのファンになっていたら二人が結婚したことを知ってびっくり。それでアマゾンプライムでこの映画を観れることを知って早速観ました。

菅田将暉やせているなぁとか小松菜奈のことを本気で好きになっているように見えるところが演技なのか演技じゃないのかわからなくてドキドキ。

平成令和と過ぎていく人生に二人のすれ違いとか偶然出会えたりとか自分で出会いをもぎとっていったりとかが良かった。

溺れるナイフのほうが役のキャラが立っていてよかった。

この二人の共演映画は3作目だそうで、一番最初の共演作も観てみたいなと思っているところ。一作目の映画は『ディストラクション・ベイビーズ』という映画だそう。

糸の子供時代の菅田将暉の役の子供が甘いマスクで子供ながら恰好良かった。

菅田将暉小松菜奈はまだ20代なんだそう。若いっていいなとか、若いのを感じさせないほどの二人の芸能界での活躍がすごいと思った。

菅田将暉は格好いいんだか格好悪いんだか分からないような感じがいい。むしろ演技派だから髪型が長くなっていたり、1990年代ファッションは格好いいと思うとともに私からしては少しださ格好いいような感じがしたりしますがそれもいいのでしょう。

二人の付き合うきっかけになった映画で映画の最後に結婚式をやっているところが、二人の結婚を思い浮かべれて良かった。

 

 

『カマグロガ』星4っつ★★★★#山形国際ドキュメンタリー映画祭

2020年のスペインのドキュメンタリー映画

映画の内容は農業について。

この映画は山形国際ドキュメンタリー映画祭山形市長賞、つまり準グランプリを取った映画です。

何が良かったかって、出てくる人々のキャラクターが良かった。この映画の主人公のアントニオのしわが深く刻み込まれた顔やぼくとつとした性格、生まれながらの農家の喜び、悲しみ。また、もう一人の主人公のインマの普段は寡黙で黙々と農業の作業をする姿。また、息子の学校で生き生きと農業について話す誇らしげな顔。

少しだけ音楽をいれているけど、ほとんど農家の作業の音だけ入って黙々と仕事をしている姿。

農業は昔は市場で直接野菜を売っていたけど、今は人々は大型スーパーに行くので、大型スーパーに買いたたかれて利益がほとんどないとのこと。

また、再開発のためモールを作りたい行政に今畑になっている場所に道路を作りたいと言われているがそれを必死に拒否するインマ。生まれてからずっとある祖先の畑をこの先も耕し続けたいとのこと。

最後のほうにアントニオが農業に疲れた、もう辞めたいと言ったのに対し監督がお前の娘に任せろ、お前は休めと言ったのが印象深い。世代交代の時期がきたのであろうか?

農家の風景というのがとても綺麗で最初と最後に畑を焼く風景を撮っているのだが印象深い。

農家の一年の姿を撮っているとともに、その毎年毎年の風景を連想させさらに時代の波を撮っているところが素晴らしかった。

『ボストン市庁舎』星4.5点★★★★☆#フレデリック・ワイズマン#山形国際ドキュメンタリー映画祭

2020年のアメリカのドキュメンタリー映画。監督はフレデリック・ワイズマン

フレデリック・ワイズマンは今91歳なんですね。精力的に映画を撮り続けてすごいです。

これも山形国際ドキュメンタリー映画祭で観たのですが、4年前に『ニューヨーク公共図書館エクス・リブス』を観たときはお歳で山形に来られなかったと思うのですが、今回はオンライン開催ということで質疑応答に出てくれて大変嬉しかったです。

まず、驚きは4時間半以上の映画ということで、面白かったのですが、な…長い!!!

この映画祭では9時間越えの映画とかもよくやっていて、賞に入ったりしているので山形の映画祭を好きな人には大したことのない時間なのかもしれませんが、途中で体勢変えたり終わったらトイレに行こうと考えたり。

ワイズマン本人が言っていましたが、ボストン市庁舎は成功した公共行政で市長がとても有能な人だった、と。

そして、この映画を撮っているときにトランプが大統領だったんだけど、トランプはサイコパスの狂ったやつだなどと言っていてアメリカの民主主義を壊す男として、ワイズマンがものすごく嫌っているというのが分かった。

フレデリック・ワイズマンの映画は客観性を大切にしていると思っていて、対象者に対してできるだけ客観的に映画を撮っていると思ったが、ボストン市長にポジティブな感情を持ったり、トランプ前大統領を嫌ったり、自分の感情を大切にしている人だと分かったのが意外だった。

そしてこの映画ではマイノリティやダイバーシティを大切にしており、成熟した民主主義というのがアメリカにはあるというのが印象的だった。

ワイズマン自身も民主主義というものをもう一度考えてみてください、と言っていた。