映画が好きすぎる眼鏡女子の独り言

淀川長治に強い憧れがある映画感想家

『PLAN75』星3.5点★★★☆#倍賞千恵子

2022年の日本、フランス、フィリピン、カタールが製作国の倍賞千恵子主演の映画。

制作のきっかけは相模原市で起きた障害者施設殺傷事件だそうです。社会的弱者に対する不寛容な社会から、みんなで助けますから一緒に生きましょう、というメッセージを出したかったそうです。

それにしても老人の生活が特に仕事を失ってから孤独で苦しかった。

PLAN75を認める社会は人の死がやけに軽い。

山形国際ドキュメンタリー映画祭では老人の幸せを描いた映画をいっぱい観てきたがそういう想像ができないほどこの映画の老人は孤独だ。山形の映画祭で観てきたいろんな国の老人たちは孫との心の交流を描いていたり、施設に入った老夫婦の愛を描いていたりした。

子供もいなく、結婚相手にも早くに亡くなられた老人は、友達や施設の職員や、話し相手になってくれるPLAN75の職員やが大切なんだろう。PLAN75の職員以外で話し相手になってくれる人がいなかったのかな、というのがこの映画の皮肉だろう。

それでも、最初のほうは友達とカラオケに行ったり、みんなでリンゴを食べたり、友達の家に泊まりに行ったり、それなりに楽しそうだったんだけど、後半は人との関係が希薄で悲しい。

最後の曇り空に太陽の光が写っていた映像で、誰に求められなくても、人の生きる姿は美しいと言いたかったのではないかな。

老人に限らず不寛容な社会から寛容な社会になるよう心から祈る。

生産性だけを求める社会はうんざりだ。