1961年にコロンビアの作家ガブリエル・ガルシア=マルケスが出版した短編小説。
昔からこの作品の題名だけ知っていて、大佐に手紙は来ないとはどういう意味だろうと不思議に思っていた作品です。大佐という立派な肩書を持っている人が手紙を待っているのはそれだけ大切にしている友達から手紙が来ないという意味なのか?それとも大佐という立派な肩書を持っている人も年を取ると人々から忘れられていき手紙の一つも届かないという意味なのか?と思っていたら大佐に軍人恩給の知らせがいつ来るのか待ちわびているという意味なのだと読んで初めて知りました。
この小説を読んでいるのと同時並行にマルケスの『生きて、語り伝える』という自伝も読んでいたら、マルケスは自分の本当にあったことをもとにして小説を書いているところもあるんだなと思いました。
例えば、この小説の中の映画館は神父が許可した映画しか観れないとか、最後のセリフでもし食べるものがなかったら何を食べていけばいいの?という妻のセリフに大佐が「糞くらえ」と言ったところ、自伝ではお父さんが糞くらえと言ったところでお母さんが何か動物の糞を用意していたことがあったところや。
この小説の翻訳をした野谷文昭先生に全カリ、つまり一般教養で授業を習ったのも懐かしい。スペイン語を知っていたら小説がさらに面白くなるという先生の言葉は糞くらえの「ミエルダ」という言葉が別の意味で何回かこの小説の中に出てきたところからもうかがえるところです。