1985年の相米慎二監督による日本映画。
中学生はなんて危うい存在なんだろうと思った。
最初の場面で終わった後の学校のプールで遊んでいたりかなり自由な中学生たちだけど、確かにそういうプールで遊んでみたいけど、実際にやったら危険だよね、ということをやっている。
主人公の三上君が受験して東京の学校に行ってしまったら、自分の好きな人だけが遠くに行ってしまって、工藤夕貴演じるりえは取り残されてしまったような気分になるんだろうな。だからそれが分かっているから咄嗟的に家出してしまったんだろう。
それに主人公の三上君は先生みたいな大人にはならないと言っていながら、台風が来たら結局みんなと一緒に服を脱ぎ散らかして遊んだり勉強している自分と種と個とはなにかと考えていたりしている自分と結局そういう大人になるんではないかという自分とで揺れ動いていたんだと思う。
それで、自分の死がそういう普通の生と死だけではなく、尊厳ある生と死を持つこともできるんだというきっかけになればと飛び降りたのだろう。
だけどそれはあまりに性急な衝動的な行動だったと思う。
それがどんなに頭がいい中学生だろうとしても、やはり中学生の考えたことなんだろうな。
尊厳ある生と死は一度堕落に落ちてみてそこから這い上がるくらいの壮絶な人生観があって初めてなされるものだと思う。人生の目標とか生き生きとした人生とかそれだけではないのが人間の人生。濁流にもまれながらもその中から這い上がり光を見出した時生きることの尊厳が分かるんじゃないかと思う。